貿易ニュース 3月2008年 

26/03/08 毒物成分が入ったハチミツで9人が被害 − ニュージーランド
26/03/08 100万ドルのサンドストーン(砂岩)輸出契約獲得 − QLD州
26/03/08 豪州の羊の虐待問題がアジア市場に広がる懸念
26/03/08 豪州最大のヤギ肉処理業者で輸出業者が閉鎖−クイーンズランド州
26/03/08 低価格の中国製自動車が来年豪州マーケットに参入
26/03/08 輸出需要に対応する為に酪農家に原乳生産量を増やすように促す
19/03/08 最近の高い気温でリンゴの色が変わる − タスマニア州
19/03/08 遺伝子組み換え操作を行なったカノーラの栽培準備が進む
19/03/08 ケシ栽培農家は生産量の拡大を強いられる − タスマニア州
19/03/08 デンマークの大手小売業者10社も豪産ウールのボイコットを決定
19/03/08 NZから豪州への原油輸出額が初めてラム・マトンを上回る
19/03/08 ニュージーランド経済が減速しても新車販売は好調
12/03/08 現地生産中止発表後、現地生産車の販売台数が急落−豪三菱自動車
12/03/08 世界大手食肉加工会社がタスマニアの食肉処理場を買収
12/03/08 豪ウール業界がヨーロッパの輸出市場を失う危機
12/03/08 2月の豪州の新車販売台数が金利引き上げにもかかわらず好調を維持
12/03/08 世界初ミナミマグロ人工繁殖プログラムを開発−南オーストラリア州
12/03/08 アメリカがオーストラリア本土のサクランボの輸入を解禁
05/03/08 体に良いラクダのソーセージはいかが − 西オーストラリア州
05/03/08 今年の豪州のアーモンドは豊作、輸出需要が高く増産計画
05/03/08 ビクトリア州の遺伝子組換え作物禁止措置が2月29日で終了
05/03/08 大手サーモン養殖タサールの中間決算の利益が減少−タスマニア州
05/03/08 生体牛・羊の輸出が今後も増加と予想 − 豪農業・資源経済局
05/03/08 豪で人気の日産『ナバラ』が衝撃テストで不合格

                                                                    

03月26日2008年 毒物成分が入ったハチミツで9人が被害 − ニュージーランド
  イースター週末に毒物成分が入ったハチミツによって9人の被害者が出たことで、ニュージーランドの養蜂家たちがダメージを受けている。 毒物成分が入ったハチミツは、ミツバチが植物のツゥツゥ(TuTu)の蜜を集めた時に起こり、最後にこの事例が発生したのは1974年である。 ひとさじのこの毒物成分が入ったハチミツによって、人間の神経系統に重大な害を及ぼすことになる。 今回ニュージーランド北島のコロマンデル地区のサーフ・タウンでこの毒物成分が入ったハチミツを買った9人が被害にあった。 養蜂家協会のジム・エドワード会長は「ほとんどの養蜂家たちは、秋に危険な地域で蜜を集めてはいけないことは分かっている。 乾燥した夏のあと、ミツバチは格好の獲物としてこの毒物成分が入った蜜を集め始める」と語った。 (Source: ABC, 25/03/08 "Toxic honey hits NZ")
03月26日2008年 100万ドルのサンドストーン(砂岩)輸出契約獲得 − QLD州
  オーストラリア・サンドストーン産業(ASI)社は、アジア向けの総額100万ドルの輸出契約に署名した。 この契約によって、クイーンズランド州のヘリドン採石場から中国企業のL'Sea Groupが不動産建設に使用する2,500トンのサンドストーン(砂岩)を輸出することになる。  2006/07年度において、クイーンズランド州が中国へ輸出した天然資源が15億ドルとなり、香港を含めると30億ドル以上になる。 ASI社はクイーンズランド州に拠点を置き、サンドストーン(砂岩)の採石と輸出を行なう企業で、オーストラリア証券取引所に上場されており、2003年から1,300万ドルを輸出している。 同社のデンセン・リュウ会長は、「中国への輸出は最近焦点を当ててきた。 我々の製品は軽くて耐久性に優れており、毒素や放射線を含んでおらず、最近、中国工業原料基準局(China Industrial Material Standard Bureau)からAAAの格付けを受けている」と語った。クイーンズランド州政府のジョン・ミッケル貿易相は、「今回の契約は、中国マーケットに対し、クイーンズランド州が質の高い天然資源や建築資材を供給できる能力と意気込みを示すことに役立つ」と話した。 (Source: QBR, 25/03/08 "Qld'er wins $1 million Chinese sandstone contract")
03月26日2008年 豪州の羊の虐待問題がアジア市場に広がる懸念

  オーストラリアの羊へのミュールジング問題が、アジア市場に波及するのではないかとウール生産者は警戒している。 ビクトリア州のウール生産者Rodwellsのウール・マネージャーのマイケル・ケクレウバー氏は、「中国は今のところ、ミュールジング問題について態度を決めていない。 しかし、ヨーロッパの小売業者がミュールジングに反対しており、その影響がアジア市場に及ぶのは時間の問題である。 それは中国の輸出市場すべてに言える。 現段階では、中国からミュールジング問題に関する問い合わせはあまりない。 しかし、中国から生地を輸出しているヨーロッパの顧客から圧力が掛かればどうなるか分からない。 中国がミュールジング問題を気にしなくても、彼らの顧客が中国が真剣にミュールジング問題を考えるように促すだろう」と話した。 
*ミュールシングというのは、羊の皮膚のしわが尿や水分を吸い、ハエが卵を産みつけたり、孵化したうじ虫が生きた羊に害を与えることを予防するために、尻尾と肛門のまわりの皮膚を鎮痛剤などは使わずに削ぎ切る作業である。
(Source: ABC, 20/03/08 "Mulesing controversy to affect Asian wool markets")

03月26日2008年 豪州最大のヤギ肉処理業者で輸出業者が閉鎖−クイーンズランド州

  クイーンズランド州南西部にあるオーストラリア最大のヤギ肉の輸出業者が今日閉鎖する。 理由は人手不足。 同州のチャーリービル地区にあるヤギ肉の処理業者で輸出業者のWestern Exporters社は、この地区で最多の従業員を雇う企業であるが、それらの100人の従業員は退職金を支給されて解雇になる。 同社のニール・ダンカン社長は、「利益が出るまでには、あと少なくとも50人の従業員が必要である。 海外の労働者からの就職の申し込みは、連邦政府によって保留されている。 人手不足のために過去2年間、年間200万ドル分の生産が出来なくなっている。 本来なら輸出を増やす資金がすべて無駄になっており、いつかは利益が出る時期が来ると期待していたが、その日は来なかった。 我々の閉鎖で、クイーンズランド州のヤギ・羊産業が大きな痛手を被ることになる」と話した。 (Source: ABC, 20/03/08 "Goat meat exporter to shut Charleville abattoir")

03月26日2008年 低価格の中国製自動車が来年豪州マーケットに参入

  来年初めに低価格の中国産自動車がオーストラリアに輸入されると、どのようなことになるか? 投入される自動車のクラスの中では一番価格が安くなることが予想できる。 しかし、オーストラリアの人々は、衝突時の安全性や一部の中国製の自動車がオーストラリアのモデルと合っていないことを心配するかもしれない。 中国のチェリー社が生産した3車種の自動車が、フェラーリ、シトロエン、フィアットを販売するオーストラリアで大手のディストリビューターであるAteco Automotive社によって輸入される。 チェリー社の軽自動車の”A1”、小型車の”A5”、コンパクトSUV(多目的スポーツ車)の”Tiggo”がそれぞれ各クラスにおいて最安値の価格になることが予想される。 Ateco Automotive社のリック・フル社長は、「中国産のそれらの自動車は、他社の車と比べてそれほど安くはならない。 1万ドルのような超低価格にはならないが、韓国車と競争できる価格を望んでいる。 プライス・リーダーより少し価格を安くし、異なるマーケットでより良い仕様で勝負したい」と語った。 チェリー社は中国で急成長している自動車メーカーで、中国の安徽省(あんきしょう)人民政府が1999年に創設し所有している。 2007年には38万台の自動車を生産し、その内12万台を輸出している。 近年、一部の中国製の自動車の安全性についての懸念の声が上がっている。 昨年、チェリー社の車ではないが同じ中国産のBrilliance sedanという車を、ドイツで行なわれた安全性を調べる衝撃テストで、星1つという最低の評価を受けている。 これに対し、フル社長は、「チェリー社の車の衝突時の安全性は心配していない。 それらの車は、ADR69(オーストラリアの正面衝突時の安全標準、Australian Design Rule 69)に合致しており、もしその基準を満たしていなければ、オーストラリアには入ってこられない」と述べた。 連邦政府インフラ・運輸・地方開発・地方政府省の広報担当者は、「ADR69は時速100キロで衝突したと仮定した模擬テストである。 もし検査した自動車がこの基準に合格すれば、衝突が起こったとしても、乗客は一般的に生存することが出来る」と説明した。 フル社長は、チェリー社の自動車を販売するのに75社のディーラーを設けることを考えているが、何台販売できるかはまだ掴みきれていない。 75社のディーラーが毎週10台販売したとして年間3万5,000台となり、マーケットシェアーの3%を確保するには問題ないとしている。 (Source: Age, 20/03/08 "Cheaper Chinese cars set to enter market")

03月26日2008年 輸出需要に対応する為に酪農家に原乳生産量を増やすように促す
03月19日2008年 最近の高い気温でリンゴの色が変わる − タスマニア州

  タスマニア州のリンゴ生産者は「味はいいよ」と言うが、タスマニア産リンゴのトレードマークの赤い色は今年は期待できない。 タスマニア州全域のリンゴ畑は、最高37度にもなる3月の異常に高い気温の被害にあっている。 タスマニア果実生産者団体のトーマス・フランクコム会長は、「影響を受けているのは収穫する人だけではない。 赤いリンゴの色を出すには、夜間は涼しく、昼間は暖かい気候が必要であり、暑い気候ではない。 我々の今の状況は、夜間は暑く、昼間は非常に暑い。 その結果リンゴに赤い色がつかないまま熟している。 その色は我々が満足するものではない。 しかし、熟している以上、収穫していかなければならない」と語った。 (Source: ABC, 18/03/08 "Tassie apples go pale in the heat")

03月19日2008年 遺伝子組み換え操作を行なったカノーラの栽培準備が進む 

  遺伝子組み換え操作を行なった(GM)カノーラの商業栽培がニューサウスウェールズ州で許可され、今シーズンに向けて作付けの準備が行なわれている。 今年の秋には同州の5,000ヘクタールの農場がGMカノーラの栽培地域として承認される予定である。 ニューサウスウェールズ州中部に住む農家ウェイン・マッカイ氏は、GMカノーラの栽培を検討しており、「慣行栽培の作物に、遺伝子組み換え操作を行なった作物が感染するのは最高0.9%程度である。 これは、仮に普通の作物の近くに遺伝子組み換え操作を行なった作物.を植えても、花粉の飛散率はこれ以上にはならず、これの割合は世界的に認められている最も厳しい水準であり、ヨーロッパやアメリカのオーガニック産業でも認めている」と話した。 しかし、環境保護団体のグリンピースは先週末、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州がGMカノーラの商業栽培を許可したことに抗議運動を行なった。 同団体のミシェル・シーサー氏は、「アルゼンチンなどの我々の輸出マーケットは、感染や残留農薬の問題があるとして、GMカノーラを禁止している。 GMカノーラの花粉が飛散するスピードは大変速く、昨日はここだけであったのが、もう道の向こう側に移り、野生化していき感染を広める。 このままGMカノーラを栽培すれば、3−4年でもう取り返しのつかない事態になっていくのを大変心配している」と語った。 (Source: ABC, 17/03/08 "GM canola plantings to proceed in NSW")

03月19日2008年 ケシ栽培農家は生産量の拡大を強いられる − タスマニア州

  タスマニア州の大手ケシ加工会社が生産体制を強化することになり、同州のケシ生産者は今後数年は忙しくなる。 ケシ加工会社のタスマニア・アルカロイズ社は、生産量を2倍にするために、今後5年間に6,000万ドルの設備投資を計画している。 同州北部内陸にある同社は、鎮痛薬のテバインを生産している。 同社のゼネラル・マネージャーのトル・セレダ氏は、「今回の多額の投資は海外での販売を拡大するためである。 オーストラリアは人口が少なく鎮痛薬の需要は低い、我々のほとんどのマーケットはヨーロッパとアメリカである。 ヨーロッパとアメリカのビジネスを拡大することは、タスマニア州全体のケシ生産者にとってもメリットがある。 タスマニア州北西沿岸は良質のケシが栽培される地域であるが、生産を拡大するのにタスマニア州すべての地域で栽培を増やす必要がある」と話した。 (Source: ABC, 13/03/08 "Poppy proliferation")

03月19日2008年 デンマークの大手小売業者10社も豪産ウールのボイコットを決定
  デンマークの大手小売業者10社が、ミュールジングを理由にヨーロッパの企業が行なっている豪産ウールのボイコットに参加した。 デンマーク最大の動物保護団体愛護協会(Dyrenes Beskyttelse)の後援者はマルグレーテ2世女王で、オーストラリアからデンマークに嫁いだメアリー皇太子妃の義母である。 我々のメアリーが、彼女の母国であるオーストラリアで2番目に大きな輸出品目のウールに対して非難をするかどうかは定かでない。 オーストラリアのミュールジングに対しは大衆の反発が高まってきており、デンマークの無料新聞紙のNyhedsavisenは、メアリー皇太子妃が豪産ウールの宣伝に関わってきたと報道している。 彼女のお気に入りのデザイナーのジェイソン・ブルンズドン氏が、オーストラリアのウール団体Australian Wool Innovationsとともに、豪産メリノ・ウールを世界に宣伝してきた。 ヨーロッパで初めて豪産ウールのボイコットが始まったスウェーデンでは、警察と軍隊は豪産ウールを制服に使用することに反発している。 スウェーデン軍隊の調達部門のカート・スベンソン広報担当は、豪産ウールを児童労働者の製品となぞらえて、「我々は長年にわたり、児童労働者が生産した製品を購入していない。 オーストラリアの羊への虐待が判明した以上、我々は動物に虐待を与えている生産者からウールを買うことはない」と話した。 (Source: Age, 12/03/08 "Danes flock to join Aussie wool ban")
03月19日2008年 NZから豪州への原油輸出額が初めてラム・マトンを上回る
  世界的な原油価格の高騰で、ニュージーランドからオーストラリアへの輸出にも変化が出てきた。 ニュージーランドは初めて、オーストラリアへの原油輸出額がラム・マトンの輸出額を上回った。 2007年10-12月の3ヶ月間で、ニュージーランドは6億2,000万ドル分の原油をオーストラリアに輸出し、同期のラム・マトン輸出額より2億ドル多くなった。 ニュージーランドの羊生産者(特に南島)は、雨量が少なく、エサ代の高騰で打撃を受けている。 ニュージーランド北島西沿岸沖のマアリ(Maari)油田の生産が今年末に始まり、ニュージーランドの原油ブームが続きそうである。 (Source: ABC, 07/03/08 "NZ oil exports outstrip lamb")
03月19日2008年 ニュージーランド経済が減速しても新車販売は好調

  ニュージーランドの新車販売は好調で、ニュージーランド経済や不動産市場の落ち込みに逆行している。 2月の乗用車は6,175台販売され前年同月より6.6%増え、2月としては1989年以来の高い数字となった。 商用車も2,004台販売され前年同月より18.4%増え、同じく2月としては1984 年以来の数字である。 ニュージーランド自動車産業協会のペリー・ケアーCEOは、「今年の初めとしては素晴らしいスタートである。 記録的な販売台数の1月のあと2月も好調である。 これは新車自動車産業がほかの産業より明らかに活発であることを示している」と語った。 メーカー別では、トヨタが2位のホールデンをさらに引き離して1位に、フォードは3位となっている。 モデル別では、2月はホールデン”コモドア”が1位であるが、1月と2月の合計ではトヨタ”カローラ”が1位で、スズキ”スウィフト”が3位となっている。 (Source: MIA, 04/03/08 " New Vehicles Sales Defy Economic Uncertainty")

03月12日2008年 現地生産中止発表後、現地生産車の販売台数が急落−豪三菱自動車
  三菱自動車オーストラリアがアデレードにある車体組み立て工場の閉鎖を発表してから1ヶ月が経ち、現地生産していた”380”セダンの販売台数が急落した。 しかし、同社の海外生産の自動車の販売は好調で2月には7%業績が伸びた。 三菱自動車オーストラリアが発表した統計によると、今年2月の”380”の販売台数が471台となり、前年同月の1,014台より53.6%減少した。 1月も692台で前年同月比で32%減少している。 同社のレノア・フレッチャー広報担当は、「2月の販売結果は、3月に車体組み立て工場の閉鎖し、今後はこのモデルの生産をしないと発表したことで予想されたものである。 事実、我々の”380”の在庫はなくなり、今あるのはすべて予約済である」と話した。 2月の同社の全体の販売台数は7%増えて5,423台となり、特にランサーや軽商用車などの輸入車の需要が高かった。 今年に入ってからの販売台数の累計は1万507台となり、前年同期比で9.2%増えている。 この好調な業績は、金利引き上げにもかかわらず消費者の購買力が高く、自動車業界全体で9%伸びていることも影響している。 (Source: Adelaide Now, 05/03/08 "Local Mitsubishi sales fall") 
03月12日2008年 世界大手食肉加工会社がタスマニアの食肉処理場を買収

  タスマニア州の食肉処理場3ヶ所が世界最大の食肉加工会社に買収された。 ビクトリア州に拠点があるタスマン・グループは、タスマニア州のロングフォード、デボンポート、キング・アイランドに3ヶ所、そしてほかの州に3ヶ所食肉処理施設を保有している。 今回それらの施設はブラジルの大手食肉加工会社J-B-S Friboiのオーストラリアの子会社によって約2億ドルで買収された。 今回の施設売却にかかわった投資銀行のデビット・ウィリアム氏は、「J-B-S Friboiは、すでにオーストラリアでは大規模な資産を保有しており、クイーンズランド州のイプスウィッチに多数の施設と、その他に牛肉処理施設を持っている。 それらのマーケット・チーム、市場、顧客のつながりによって、J-B-S Friboiにも、タスマニアの食肉処理場にも、そして納入業者にも素晴らしいビジネスチャンスが創造できる」と話した。 (Source: ABC, 05/03/08 "Tasmanian meatworks sale")

03月12日2008年 豪ウール業界がヨーロッパの輸出市場を失う危機
  スウェーデンが羊に対するミュールジングの反対をヨーロッパ委員会に表明したことにより、オーストラリアのウール業界はヨーロッパの輸出市場を失う危機に直面している。 スウェーデンにある19社以上の小売業者が、ミュールジングを実施したオーストラリア産ウールの不買を表明しており、スウェーデン政府の農業相も羊のミュールジングや生体輸出の問題をヨーロッパ委員会に提訴し、委員会のメンバーたちにオーストラリア産ウールのボイコットを呼びかけている。 また、スウェーデンと他のヨーロッパ諸国にテレビで放映されたドキュメンタリーでは、ロンドンにあるPR会社のコンサルタントが、スウェーデンの動物保護活動家に、今回の問題を穏便に済ませることを条件に、羊の飼育状態を見学する無料のオーストラリア旅行を提示しているところが映し出され、買収工作として非難を受けた。 一部のオーストラリアの野党国会議員は、トニー・バーク農業相に対し、事実関係を説明するように求めている。 業界団体の豪羊毛羊産業タスクフォースとオーストラリア・ウール・イノベーションは現在コメントを避けている。 

*ミュールシングというのは、羊の皮膚のしわが尿や水分を吸い、ハエが卵を産みつけたり、孵化したうじ虫が生きた羊に害を与えることを予防するために、尻尾と肛門のまわりの皮膚を鎮痛剤などは使わずに削ぎ切る作業である。
(Source: ABC, 06/03/08 "Wool industry in danger of losing European markets")
03月12日2008年 2月の豪州の新車販売台数が金利引き上げにもかかわらず好調を維持

  1月と2月のオーストラリアの新車販売台数は、昨年の100万台を突破した記録的な年間販売台数の勢いを継続して、それぞれ過去最高となった。 連邦自動車産業会議所(FCAI)のアンドリュウ・マッケラーCEOは、「2月の新車販売実績は、自動車産業にとって大変喜ばしいもので、新車価格の値ごろ感を反映して、個人と法人の需要が引き続き高いことを示している」と話した。 2月のマーケットの傾向としては、軽・小型車と大型SUV(多目的スポーツ車)が再び伸びてきた。 軽自動車が2,236台(22.5%)、小型車が1,645台(8.6%)、SUVが3,365台(22.6%)増加した。 逆に大型車は2,488台(19.9%)、中型車は383台(5.1%)減少した。 「大型車と中型車の販売台数が減ったのは、いくつかの主要モデルの在庫がなくなったもので、近々に新しいモデルが発表されることになっており、今後販売台数の増加が期待できる。 また2月で目立ったのは、商用車の販売台数が伸びたことで、ピックアップ車が1,184台(22.0%)、バンが602台(39.1%)増加した」とマッケラーCEOは語った。 2月のメーカー別の販売シェアーは、トヨタが23.0%、2位はホールデンの13.8%、フォードは10.5%で3位となっている。 今年に入ってからの販売台数の累計では、トヨタがホールデンより1万5,916台上回っている。 (Source: FCAI, 05/03/08 "Car Market Accelerates Despite Interest Rates")

03月12日2008年 世界初ミナミマグロ人工繁殖プログラムを開発−南オーストラリア州
  南オーストラリア州の企業が、世界で初めてミナミマグロの人工繁殖プログラムを開発した。 Clean Seas Tuna社は蓄養しているミナミマグロから精子と卵子を採取することに成功し、これらの受精された卵子によって、今後安定したミナミマグロの生産に道を開くことになる。 現在、同社は天然のミナミマグロを捕まえ、ポートリンカンにある生簀(いけす)に入れて大きくなるまで蓄養し、日本、アメリカ、中国に輸出している。 しかし、ミナミマグロは絶滅の危険が懸念されており、漁獲量は厳しい割り当て枠によって管理されている。 オーストラリアは毎年5,000トン強のミナミマグロの輸出が許可されている。 Clean Seas Tuna社のハーゲン・ステア会長は、「我々はオーストラリアの漁獲割り当て枠と同量のミナミマグロの養殖を望んでいる。 これによりオーストラリアのミナミマグロ産業の安定化が図られ、世界で我々の将来に脅威を与える者はいなくなる。 今回のミナミマグロと同様の人口繁殖をヒラマサにも行い、養殖期間を短縮してヒラマサ産業も安定したものにする。 輸出マーケットはそれぞれの国で、それぞれの国が好む、色、味、歯ごたえ、油脂分などのミナミマグロの品質特性がある。 我々は養殖の段階で、ある程度好みにあった品質を作ることが出来る。 天然のミナミマグロを漁獲する際は、もちろん、そのような品質を選ぶことは出来ない」と話した。 (Source: ABC, 04/03/08 "Artificial breeding for tuna")
03月12日2008年 アメリカがオーストラリア本土のサクランボの輸入を解禁
  アメリカがミバエによる輸入禁止を解除したことにより、オーストラリア本土のサクランボ生産者がアメリカに輸出できるようになった。 今までは、公式にミバエの汚染地域でないとされているタスマニア州のサクランボだけがアメリカへの輸出を許可されており、2006-07年度で32万豪ドル相当が出荷された。 トニー・バーク農業相は、アメリカによる今回の解除を歓迎し、「地元の園芸業界が、粘り強くアメリカ政府農業省に解禁の交渉を続けてきた。 早ければ今年からオーストラリア本土のサクランボがアメリカに輸出されることになる」と話した。 オーストラリアのサクランボ生産者は、NSW州のヤング地区、オレンジ地区、バサースト地区、SA州のマウント・ロフティー・レンジズ地域、リバーランド地域、VIC州のダンデノング・レンジズ地域、TAS州のフオン・バレー地域など全国に700軒以上がある。 2006-07年度にはオーストラリアは1,250トン、総額1,230万ドルのサクランボを海外に輸出しており、主な輸出先は280万ドルの台湾、270万ドルの香港、160万ドルのシンガポールである。 (Source: Australian/AAP, 04/03/08 "Cherries set for sweet success in US")
03月05日2008年 体に良いラクダのソーセージはいかが − 西オーストラリア州

  オーストラリアの質素なソーセージは、もはや牛肉や豚肉の残り物で作られず、今は、にわとり、七面鳥、カンガルー、そしてラクダの肉から選択できる。 ラクダの肉は、心臓財団(Heart Foundation)からの承認を得ており、昔ながらの牛肉のソーセージに代わってより健康に良い。 牧畜業者(特に西オーストラリア州東ピルバラ地区)にとって野生のラクダは有害な動物であり、間引きをしなければならない。 しかし、ある人が間引きしたラクダの肉を廃棄するのではなく、食用に使うチャンスだと考えた。 西オーストラリア州ニューマン地区に住むギャリー・コーネル氏は、「最も困難なのは野生のラクダを捕まえることである。 ラクダは非常に大きな動物で、私自身何回もラクダにぶつかってこられ、トレーラーも何ヶ所かへこんでいる。 ラクダの肉は容易に市場に受け入れられるのではないか、それはオーガニックであること、牛のように化学肥料を使った牧草は食べていない。 ラクダの肉は子牛の肉のようで、人々が考えるほど匂いがなく、素晴らしい肉である」と話した。 (Source: ABC, 03/03/08 "Camel sausages an alternative for culled meat")

03月05日2008年 今年の豪州のアーモンドは豊作、輸出需要が高く増産計画
  業界団体オーストラリア・アーモンド委員会(ABA:Almond Board of Australia)は、今年のオーストラリアのアーモンド生産量は、厳しい水不足にもかかわらず2万8,800トン(殻付き)になり、昨年の2万6,555トンより増えると予想している。 ABAのジュリー・ハスレットCEOは、「栽培年数の浅い畑からのアーモンドの収穫が、灌漑用水制限の影響を受けた畑の収穫を上回るようになった。  アーモンド産業の成長のカギは、生産者がより効果的な灌漑システムについて、前向きに対応するかどうかである。 アーモンド栽培は、オーストラリアで最も成長が著しい産業のひとつで、国内だけでなく、インド、ヨーロッパ、日本、香港、ニュージーランド、中東からの輸出需要が高まっている。 現在の生産者の売り上げは約1億8,000万ドルであるが、新しく作付けした畑がフル生産できる7年後には5億ドルとなり8万トンのアーモンドが収穫できる」と話した。 (Source: The Land/Farmonline, 03/03/08 "Almonds aplenty in bumper harvest")
03月05日2008年 ビクトリア州の遺伝子組換え作物禁止措置が2月29日で終了
  環境保護団体は、4年間にわたる遺伝子組み換え作物禁止措置を解除したビクトリア州政府の決定に、消費者が反発するようになるとしている。 3月1日からビクトリア州の農家は2種類の遺伝子組み換え操作をしたカノーラを作付け出来るようになる。 ビクトリア州政府は、環境や健康に対する許可を得たカノーラ2種について作付け許可を与え、今後8年間に1億1,500万ドルの経済効果があるとしている。 同政府のジョー・ヘルパー農業相は、「ビクトリア州の農家は、海外の農家と対抗するために2種類のうちどちらかを選ぶことが出来る。 2種類とも環境や人への影響についての許可は出ている」と話した。 一方、ビクトリア州農家連盟(VFF)は今回の解禁を歓迎しており、穀物部門のアンドリュー・ウェイデマン副会長は、「これでビクトリア州の穀物生産者は、海外の生産者と比べて競争力がついた」としている。 しかし、オーガニック団体のBiological Farmers of Australiaのスコット・キニアー広報担当は、「遺伝子組み換え作物は安全でなく、将来規制やコントロールが出来なくなってくる。 遺伝子組み換え作物は広域的な動物実験が行なわれておらず、世界中でも人への実験が実施されていない。 遺伝子組み換え作物で作った食品を食べた結果の健康への監視システムがない」と反論した。 (Source: ABC, 29/02/08 "Victorian GM moratorium ends today")
03月05日2008年 大手サーモン養殖タサールの中間決算の利益が減少−タスマニア州

  アトランティック・サーモンの養殖業者タサール・グループの中間決算における利益が35.14%減少したが、同社は通年では2,100万ドルの利益が計上できると予想している。 オーストラリアで最大のサーモンの養殖業者であるタサール社は、買収したSuperior Gold社からの利益、国内市場の有機的な成長、リストラによるコスト軽減で下半期では利益が回復としていくと見ている。  タスマニア州に拠点を置く同社は、2007年7月から12月までの6ヶ月間の純利益が843万ドルとなり、前年同期の1億3,030万ドルから減少した。 タサール・グループのマーク・ライアン社長は声明の中で、「今回の利益の減少は、前年同期より160万ドルを上回ったマーケティング費用のためである。 上半期の戦略は、リストラに重点を置き、タサールの海上や加工作業の基本的な見直しを行ない、同時に売り上げや利益の増加する対策を実施することであった」としている。 しかし、投資家は同社の株を売りに転じ、株価が$2.61と約20%下げた。 ライアン社長は、「256万ドルでSuperior Gold社を買収し672万ドルの資本金が増えた。 経営状況は良く、有機的でどん欲な成長を積極的に行なっていき、今年度通年の利益を2,100万ドルに出来ることが可能である」と語った。 (Source: AAP, 27/02/08 "Salmon farmer Tassal's profits down") 

03月05日2008年 生体牛・羊の輸出が今後も増加と予想 − 豪農業・資源経済局
  オーストラリア農業・資源経済局(ABARE)は、動物愛護団体の反対によって生体牛と羊の輸出が出来なくなれば輸出業者は7億2,000万ドルの損失になると予想している。 昨日発表された報告書では、アジアと中東マーケットからの需要が大幅に増えるとしている。 ABAREの幹部のフィリップ・グライド氏は、「報告書では、オーストラリアの生体家畜輸出マーケットは、南アメリカの輸出業者と厳しい競争をしているが、口蹄疫などの病気がないということで、オーストラリアは現在のシェアーを守ってきた。 南東アジアでの冷蔵設備の問題や、生体家畜への宗教的や文化的な好みにより、もしオーストラリアが生体家畜の輸出禁止を発令したら、輸入国はオーストラリアから加工した牛肉や羊肉を購買するより、ほかの国から生体家畜を輸入することになる。 オーストラリアは2006/07年度に、生体牛を63万8,000頭(輸出額4億3,000万ドル)、生体羊を410万頭(輸出額2億9,000万ドル)輸出している。 ほとんどの生体羊は中東に行き、生体牛の半分はインドネシアに輸出されている。 海外やオーストラリア国内の動物保護団体が、生体輸出産業を廃止するように圧力が高まっているが、トニー・バーク農業相は廃止の圧力には屈しないとしている。 (Source: LLDCN, 28/02/08 "Warnings issues as live stock exports increase")
03月05日2008年 豪で人気の日産『ナバラ』が衝撃テストで不合格
  オーストラリアで人気の高いピックアップ・トラックの日産『ナバラ』は衝突時に、乗客に対し命にかかわる怪我となる高い危険性があり、国際的な自動車テスト機関で、安全性を評価する星印が1個も獲得できなかった。 オーストラリアの衝突テスト組織の提携機関であるEuropean New Car Assessment Program(ENCAP)が行なった、時速64キロで正面衝突をした結果では、旅客席において衝突時のエアーバッグやシ−トベルトプレテンショナーの作動が遅く不安定な状態になるとしている。 日産オーストラリアは、今後も問題点を改善し『ナバラ』の販売を継続するとしている。 同社のジェフ・フィッシャー広報担当は,「『ナバラ』は必要な審査機関の基準を満たしており、購入した顧客に3月から連絡し、エアーバッグのソフトウェアーを改善するために、購入したディーラーに連絡するようにお願いする。 評価で星印が1個も獲得できなかったENCAPに対して、最低$39,000する『ナバラ』が1個以上の星印が取れるように再テストを要請する」と話した。 日産『ナバラ』はオーストラリアの総輪駆動車のピックアップ・トラックとしては、トヨタ『ハイラックス』に次いで人気があり、昨年1万8,000台以上販売されている。 Australian New Car Assessment Program(ANCAP)による軽商用車の衝撃テストでは、トヨタ『ハイラックス』と三菱『トリトン』が4星、ホールデン『ロデオ』が3星で、三菱『エクスプレス・バン(エアーバックなし)』がANCAPで唯一星が1個となっている。 詳しいENCAPによる衝撃テストはhttp://www.euroncap.com/tests/nissan_navara/317.aspx参照 (Source: Australian, 28/02/08 "Nissan Navara fails safety test")